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三人は雑談をしながらそれぞれ注文したものを食べ終えた。
飲食店でバイト経験のあるまゆみは、食器類を重ねて店員が取りやすいようにテーブルの端に置いたが、朝倉はその食器に見てみぬふりをした。
「私、ちょっとお手洗い行ってくるね。」
まゆみはそう言うと席を立った。祐介はまゆみが見えなくなったのを確認して、もう氷が溶けきった水を一口飲んだ。
「仲直りしたみたいで良かった。だけどケンジ。あの事話したのか?」
「…ははっ。まゆみのあの様子で話したと思うか?」
祐介の唐突な質問に、ケンジは苦笑いした。
「早く話した方が…。」
「祐介はホント心配性だな。海外研修っていっても、たかだか半年だ。」
ケンジは仕事の都合で、昇格に向けて海外研修が組まれていた。
ケンジが半年は日本にいない。まゆみが知ったらどんな顔をするだろうか?祐介の不安は募る。
なにより、この二人が別れてしまいまゆみとの接点がなくなってしまうのが祐介は怖かった。
「たかだか、と思うなら早く話してやれよ。もう1ヶ月きったんだろ?出発まで。」
「…そうだな。タイミング見て近々話すとするよ。」
祐介はトイレの方向をチラリと見た。幸い、まゆみはまだ来る様子はない。
「この昇格決まったら、結婚するんだろ?」
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