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「そういえばその事お前に話したっけ…。くだらない浮気疑惑で別れる別れないとか、ちょっと女々しかったな、オレ。」
「それでもついてきてくれる女じゃんか。大切にな?」
祐介は胸がチクチクと痛むのを感じた。偽善者め。調子いい事ばかり――自己嫌悪を繰り返し、祐介はちゃんと隠し通すと決めた。ケンジの為にも。祐介自身の為にも。
「…やっぱ祐介、お前を呼んで良かった。いつも間違いそうな時に正してくれる。感謝してるよ。」
「そんな。俺は別に何も。」
「ははっ。謙遜すんなよ。…じゃあオレ会計してくるわ。」
「ああ。」
ケンジが席を立ったのと同じタイミングでまゆみが戻ってきた。伝票がないのと、ケンジがいないのとで、ケンジが会計に行ったのだとまゆみは察知した。
「そういえばナポリタン笑っちゃってごめんね。でもケンジも喫茶店とか行くとカレーなのよね。」
ふふっと笑うまゆみに、祐介は先ほどまで感じていた胸の痛みが和らぐのを感じた。
そうしてるうちにケンジが戻ってきたので、三人は4時間居続けたカフェから出ることにした。
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