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祐介は通話の切れたケータイを見つめ、ため息をついた。きっとまゆみは上手く誤魔化すだろう。今までもそうだった。
いっそのこと、バレてしまいたい。自ら明かせない祐介の小さな思いはケンジとの関係を壊してしまう怖さには勝てなかった。
祐介は重たい体をおこして、シャワーを浴びに浴室へ向かった。
「ケンジにバレても――まゆみはそばに居てくれるだろうか?…なんてな。」
開き直った祐介の呟きはまゆみの好きな香水の匂いと共に流れていった。
そうして彼はものの5分程度でシャワーを終えると、冷蔵庫を開きミネラルウォーターを飲んだ。
仕事の勤務表に目を通し、今日が休みであることを確認した祐介はケータイを開いた。
一通のメールが届いており、差出人はケンジ。内容は何となく知ってるカフェの名前と、来てほしい旨が書かれた絵文字のない素っ気ないものだった。
やっぱり呼ばれると思った。…なにを着て行こうか。おもむろにクローゼットを開く祐介だが、その表情は当然ながら浮かないものだった。
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