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「何で…こんな事になっちゃったのかな……」
少女は俯きながら、濡れた目元を拭った。
午後19時過ぎ。
日も暮れて、さっきまではオレンジ色だった景色も薄暗く、いつの間にかグレイと紺色の空になっていた。
小さな公園には、もう誰もいない。
少女が乗ってるブランコは、キィーコ…キィーコと規則的な音を立ててゆっくり前と後ろに動いている。
もうどれ位、こうしているだろう。
一時間は経ってる気がする…。
『はぁ……』
涙とため息しか出て来ない。
制服姿で独りでポツンと座って、こんな所で泣いてる自分が、どんどん情けなくなって来る。
さっさと帰れば良いのに、立ち上がる事が出来なくて。
十七歳の女子高生がずっとブランコに乗ってるなんて、何をやってるのかと思われるだろう。
辛い事や悲しい事があると、公園のブランコか自宅からは少し遠いが、科学館のプラネタリウムに行くのが、一ノ瀬 なのか (イチノセ ナノカ) のお決まりのコースだった。
この場所に来ると…ほんの少しでも、気が安らぐ気がして。
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