9人が本棚に入れています
本棚に追加
―――『女の顔』で睨んだ智巳の顔は、今まで見た事がない表情でまるで別人の様。
気迫に寒気すら感じる。
冷たい氷の様な言葉が、信じられなかった。
ワタ…シ…ヲソンナ…ニ…ニク…ンデタ…ノ?
今まで二人で過ごした記憶が、頭の中でシャボン玉みたいに七色に浮かんでは消える。
―――思い出が、心から溢れ出しては滑り落ちて行く。
なのかの瞳から、涙が伝い落ちた。
「…ん……智…?」
人の騒がしい気配に、やっと気付き目覚めたのか、亮は智巳がいるはずの右隣りを見上げて視界を広げる。
「亮!起きた?
…なのかが来てるよ。」
身体を顕わにしたまま、ベッドから上半身を起こし部屋の入口を睨みつけている智巳と、部屋のドアの前で、涙を流し…茫然と立ち尽くしているなのかの姿が目に入る。
「え…?なっ、なのか…!!」
最初のコメントを投稿しよう!