序章

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最近噂されている奇妙な事件。 神隠し。 何処か神秘的で、にもかかわらず恐怖を感じるその言葉は、実際に俺の目の前で証明された。 それは突然だった。学校の帰り、『また明日』と言って別れた親友と翌日から会う事は無かった。 親友のお母さんの話によると、何かの封筒を持って自室に引っ込んだ親友を呼びに行くと、既に親友は居なかったそうだ。侵入者は無く、完全な密室。これが犯罪ならば、完全犯罪。 警察が捜索してくれたが成果は0。唯一の手掛かりが、親友が自室に持って入ったという封筒。 しかしその日、親友宅に郵便物は無く、親友宅の家の前を通った人さえ居なかった。 消えた親友と謎の封筒。 その謎の封筒が今、俺の手元にある。 真っ白で宛先も送り主の名前も書いてない封筒。その中には一枚の紙が。 「Monster or alive?聞いた事無い。」 monster or aliveというゲームの大雑把な説明が書かれた紙。 ざっと目を通し、内容を把握する。 それは現実では信じられない、まるで作り話の様な内容。 だが、封筒の中はその紙のみ。他には何も入って無い。 俺が不審に思ったその時、いきなり目の前が真っ暗になった。 自分の部屋に居る気がしない。そんな中、突如機械的な女性の声が響き渡った。 『ようこそ、Monster or aliveへ。この世界は強力なモンスター達が地上を闊歩する世界。次々に襲い来るモンスター達を倒して生き延びて下さい。貴方がこの世界で何として生きるのか、どう生きるのか。それは神のみぞ知る。 それでは、いってらっしゃい。』 俺の目に光が、俺の耳に音が、俺の身体に感覚が戻って来た。 ゆっくりと目を開けると、そこに居たのはスーツを着こなしたおじいさんだった。
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