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ボーッと、空を見上げることなく、俯いて帰る。
考えていることは、無い。
「ねぇねぇ、おかーさん」
「うん?どうしたの?」
声がしてふと視線を上げると、傍を親子が通る。
「空ってどのくらい広いのー?あそこにお父さんがいるんでしょー?」
子供が空に指をさし、母親に聞く。
「うーん、どれくらいかしらねぇ・・・。」
曖昧な、答え。
・・・あぁ、俺も、こうだった。
「・・・でも、」
母親が、言葉を続ける。
「でも?」
「きっと、私たちをどこでも見えるくらい、大きいはずよ。」
「・・・っ」
「そっかぁー。お父さんだもんねーっ!」
納得する子供を気にもせず、心に、何かがつまる。
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