episode5【告白・酷薄】

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「えっ、どうして私達の事......まだ名乗ってもいないのに」  と、楓。  その疑惑は当然であり、誰もが同じ意見。  だが、沙希は敢えて挑発するような口調と素振りで、  「同じ学園に通う二人は少なからず面識はあるようだけど、改めて対峙してみれば──」  ニヤリと、冷笑を称え。 「──大したこともないわね。他のメンツもそれと同等......いえ、それ以下ね。現にそこに倒れる男共も手応えが無かったし」  それに、 「この調子なら、この場全員を叩き伏して慎を奪還するのは簡単だわ」  尚も、沙希は煽るように言葉を吐き出す。 「だって、慎の全ては私のもので、私の全ても慎のものだもの──行く末は幸せな家庭を築いて、子供もいて......あぁ、想像するだけでもう」  飛躍(ひやく)に飛躍を重ね、彼女は身を抱いて恍惚に顔を変える。  一瞬だけ、そのばの時間が凍結する。  妄言を吐く、可笑しな女と思われているか、それとも確固たる自信を持って、悠然と言い放つ女だと思われているのか──判断は分からない。  だが、会話の切れ目もなく彼女の口は言葉を吐き続ける。 「子供の名前は何がいいかしら?男の子だったら慎の名前を含めた『慎吾』(しんご)とか。あぁ、でも、女の子だったら私の名前から付けて『亜李沙』(ありさ)とか──」  理想の未来像を隠すことなく沙希は頬を染めながら続ける。  全員が、唖然とその光景を眺める中、二人だけがその言葉を是としない。  そう、三角の内の二点────漆と楓だけが、唯一。 「慎くんとの子供は私が最初なんだもん!他の誰にも譲る気はないわ!」  漆が叫び、第二波。 「そんなのは絶対に許さないよ!私の初体験も、初めての子作りも、夫婦の営みも全部シンくんのものだし、シンくんに捧げるんだから!」  周知の反応もお構いなしに二人は卑猥な言葉を言い放っていた。
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