episode5【告白・酷薄】

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「っ、どうして私の能力をそこまで詳しく......」  警戒心をより一層強めた楓が、構えながら言う。  けれど、沙希は。 「さあね?どうしてでしょう?」  嘲るように笑い、真偽を有耶無耶にしていた。 「......」  鋭く尖っていた敵意が、さらに研ぎ澄まされる。  彼女を包む雰囲気がより重く、おぞましく変化して、最早誰にもそれを制止させることなど出来ない。  そして、 「──【瞬歩】」  姿が、消えた。  音もなく、その場に風だけを残して。 「────!?」  流石の沙希も、彼女の本領発揮に顔をひきつらせていた。  気配を辿れず、カウンターを狙うことも出来ない。  唯一、取れる選択といえば────。 「防御......しかないわね」  腕を十字に交差させ、完全防御体勢に切り替える。  機会(チャンス)があるとするならば、攻撃が当たる寸前。  肉を切らせて骨を絶つ。  後の一手としての有効な戦略ともいえよう。  刹那、場が動いた。 「────!」  ズキリと、正面からの衝撃が腕を伝い、全身に痛みを刻む。  砲丸でも直撃したかに等しい威力の攻撃が沙希を襲っていた。 「(っ、今────!)」  だが、同時にチャンスでもある。  一瞬だけ姿を現した楓の腕を掴み、投げ技に持ち込めれば、 「これで......っ」  そう、確信していた。 「──遅い」  楓の声が前方でなく、後方から聞こえていなければ。 「!?」  ギョッと、目を見開くが──時既に遅し。
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