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「終わりだよ!」
背後に迫る楓を認識した時には、横凪に蹴りが放たれていた。
逃げ場は、無い。
人間の身体能力を遥かに超えた打撃は、たとえ魔法で防御しても、その壁でさえ打ち抜く。
そんな必殺ともいえる一撃が沙希を直撃する間際、
「Assimilation(同化)」
沙希が、唱えていた。
刹那、回し蹴りが炸裂する。
直後。
「!?」
水が弾けた。
振り抜いた楓の右足が彼女を切り裂きいた──のだが、何故か感触を感じない。
見れば、彼女の身体が崩れていた。
全身が水のように液体状に変化していて、楓はその『沙希の姿を模した水の分身』に攻撃していたらしい。
完全に、不意を突かれる。
「......っ」
素早く軸足に力を込め、出来うる限りの速度でその場から退避。
元の場所には“沙希であっただろう水溜まり”が残るだけ。
数メートルの距離を瞬時に確保した楓がほっと息をつくのを節目に、
『────!?』
そんな光景を目の当たりにした、五人の内、斗真を除く全員が表情を一変させていた。
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