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「如月......沙希っ、貴女!」
「──違うわね」
アリアスが言い終える前に、沙希がそれを遮り、言葉を挟む。
「私は蛟(みずち)。水を司る神竜の化身であり、御蛟の一族でもある」
──────ピュッと。
彼女が腕を水平に振るう。
それだけで、腕に纏っていた水が鋭利な刃物となり、あらゆる物を切断する刃となる。
それは全員の頭上を通過して、
『────!』
壁が横一線に刻まれるのを合図に、沈黙は破られた。
「【Manifestation】(顕現)!」
先陣は、アリアス。
唱え、右手の【収現の指輪】から
武器を取り出す。
粒子が武器を模し、次第にそれは長槍の形を司る。
抜き放つように。彼女はそれを左手で握り、投擲の構えを取って──その武器の名を言い放つ。
同時に、沙希へとその矛先を向けて。
「【グングニール】!」
神話の中で語り継がれる伝説の槍。オーディンが所有したとされるその槍は、目標を貫いて元の持ち主へと返ってきたとの伝説がある。
アリアスはそれを迷いなく投擲していた。
空気を裂き、全てを貫く必殺の槍はどんな防御も突き破る。
高速で放たれたそれは、あらゆる物を穿つ。
対し、彼女は、
「ふふっ」
その場から動こうとせず、ただ冷笑を称えるのみ。
刹那、槍が彼女の腹部目掛けて接触し────。
「......!」
───一切の抵抗なく、グングニールは沙希の身体を突き穿った。
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