episode5【告白・酷薄】

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 広範囲魔法による、複数同時攻撃。  楓にアリアス。敵意の無い斗真と鈴までもが標的となっていた。 「くっ......」 「わわっ」  アリアスがそれを横に跳ぶことで回避し、楓が平手で水弾を弾き飛ばす。    「......」 「何故に僕まで!?」    鈴に至っては、無言のまま前方に重量の壁を展開して弾を垂直に落とす。  情けなくも、斗真は慌てて次元に穴を空けて逃げ込んでいた。  最後、今まで口すら開いていなかった漆。 「【lightning・spel】」  唱え、一息。 「【spear・rain】(槍の雨)」  瞬間、彼女の周囲に無数の雷槍が展開。  その内一つが水弾を打ち消し、残りの魔法は全て沙希に向けて穿たれていた。  慎が傍にいるのも構わずに、だ。  彼女自身、表情こそ変わっていないが、内心では激怒していることであろう。  大事な弟が巻き込まれてしまうことすら頭に入っていない。  完全に冷静さを欠いた攻撃といえよう。 「......必死ね」  呆れるくらい、と彼女は呟く。  怒りで我を忘れるあまり、最愛の弟である彼までも巻き込んだ。 「──でも」  丁度良い。“アレ”を試す機会が得られたのだから。 「慎、聞いて」 「......」  慎は一瞥すらしない。  いや、“する事すら出来ない”  もう、とっくに理解の範疇を超えて思考を停止させていたから。  ならば、最早言葉は要らない。  行動で示すのみ。 「私だけなら回避も容易いけど、慎が一緒だとそれも出来ない。必ずどちらかが傷を負ってしまう」  だから、 「慎の有する希少魔法は知ってる。だからこそ、私はそれを逆に利用する」  情報源──一族の後継者であった紗耶香(さやか)にとって、他の一族の能力の詳細を把握しているのは当然のこと。  
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