episode5【告白・酷薄】

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「ふふっ、なんだ。そんなことを気にしてたのね」  彼女が笑って、何故か自分の腕で自分自身を抱き締める。  愛(いつく)しむように、強く。  ポツリと、沙希は呟いていた。  信じられない言葉と共に。 「──私の中にいるわ。一つになったのよ、私と慎はね」 『────!?』  全員が同時に震撼する。  一瞬、彼女が何を言ったのか理解出来なかった。  それが一体どういう意味なのか、ただの妄言なのか。 「雷槍の雨が直撃する瞬間、私は慎に魔力性質を【overwrite】(上書き)させた」 「【overwrite】(上書き)、ですって?」  と、漆。 「そう。間接的じゃなくて直接的に、ね」 「っ、それは......!」  ここで、楓が表情を強ばらせていた。まるで、彼女が言う次の言葉を予測したかのように。  沙希が、指で自らの唇をなぞるように撫でて、 「ファーストキス......慎にあげちゃったわ。うふふ、気持ちよかった──病みつきになるくらい」    嬉しそうに頬を染める彼女は、恍惚とした表情を浮かべていた。  だが、それが火種となったらしい。  その言葉を言い終えた刹那、動く二人の少女。 「慎(シン)くんを......っ、返せぇぇぇえええ!」  魔力強化した脚力で、数メートルの間合いを一瞬で詰めていた。  楓と漆。 「──!」  初撃は、楓。  風をも切り裂く健脚を横凪に放つ。狙いは、彼女の頭部。  人間の身体能力を超えたその蹴りは、魔法の防御すら突き破る。
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