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形が変わり、女性特有の丸みを帯びた体格から、がっしりとした輪郭に水が整えられていく。
沙希自身、既に体は水に溶けていて、どんな形をも模すことが出来る状態だ。
徐々に、水が色彩を帯びていき、僅か数秒の時間が経過した時。
「はー、意外と上手くいったわね。この変身魔法は」
口調こそ沙希自身だが、その姿形は全くの別物だった。
何故なら、そこに立っていたのは紛れもなく、
「そんな......なんで、なんで──」
漆が驚愕を露わにする。
目の前に立ち塞がる敵の姿が、信じられないことに、
「慎くん!」
「や、姉さん。心配かけたね」
黒髪で黒い瞳の男──御堂 慎がそこにはいたからだ。
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