合コンで運命的な出会いは皆無

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「ふぅ……やっと吐き気がおさまった……」   夜風に当たりようやく体調が回復したところで、腕時計で時間を確認。   外出時間が予定より遅れてしまったが、元々余裕を持って家を出ようとした為まだギリギリ間に合う時間帯。   「待たせたら悪いし……ちょっと急ごうかな?」   小走りで集合場所である○×△□カラオケ近くの駅前へと向かった。   ――   「(駆君がやっと出て来たよ!!)」   《了解しましたわ!気付かれないように後をつけながら随時連絡をお願い出来まして?》   「(わかった!!美鈴頑張る!!)」   トランシーバーを握り締め、少し遠目の場所を小走りしている幼なじみをバレないように尾行する。   帽子、サングラス、マスク、ロングコートというあからさまに怪しい服装の主は駆の幼なじみである夜桜美鈴。   駆の合コン事件は取り巻き達の間で死活問題となっており、会議を重ねた結果このような行動を取ることとなった。   尾行担当は駆の行動を一番理解している幼なじみの美鈴。   アドバイザーは北条院家の力をフルに使い、街の監視カメラから従来町全体の映像を確認出来るアリサ。   そして万が一の場合を考え、合コンの一次会場の近くで待機しているその他多数が作戦メンバーである。   ちなみに監視カメラで街全体を見渡せるにも関わらず何故尾行が必要と判断したのか。   それは万が一カラオケへ向かう途中に美少女とのフラグを発生させるのを防ぐためである。   「そんな大袈裟な……」などと思うなかれ。   『無差別異性ホイホイ』の彼がひとたび外へ繰り出せば、あっという間に複数の女性と仲良くなってしまうのだ。   「(今駆君はちょっと早めのペースで急いでるみたい。あぁそんな後ろ姿も素敵)」   《こちらからも映像で確認出来ますわ。それから駆さんは渡しませんのでよろしく》
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