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「ツンデレって本当に凄いよね。何度殴ったり罵倒浴びせたりしても『萌え』の一言で片付けられちゃうんだから本当におかしな世の中になったもんだよ。まぁ美少女に限る話だけど」
「…………」
「好きな人に素直になれないとか嫌われたいとしか思えないんだ僕。それで冷たい態度とか取られて逆ギレするシーンとか見ちゃったらもうただのバカを通り越して哀れにしか見えないよ。それで万が一主人公と結ばれちゃったりしたら別の積極的なヒロインが可哀想だよね?なんたって自分の好きな人がただのドMだってわかっちゃうわけなんだから」
「……朝食くらい黙って食べれないの?」
とある朝の食卓。
洋風作りのリビングに向かい合って座る男女の2人組がいた。
男性の方は痩せ細った体型をしており、しばらく散髪していないであろう黒髪は目元を覆い隠して素顔は下半分しか確認出来ない。
黒の制服を多少着崩し、足を組みながらテーブルの上に肘を置いて片手で食事と非常に行儀が悪い。
一方女性の方はピンクと青のしましまパジャマで、少し茶色が混じった髪をサイドテールにしている。
こちらも痩せ型ではあるものの、男性とは違い健康的な体付き。
スタイルは悪くなく、顔も男性受けしそうな童顔なのだが顔を真っ赤にしながら額に青筋を浮かべているので魅力がた落ちである。
泣きボクロが印象的。
「いやいや、僕は明美(あけみ)に自信を持たせようとしてるだけさ。今日も駆(かける)君が来てくれるらしいじゃないか。また嫌われない程度にツンデレしてあげれば?」
「ツンデレツンデレ五月蝿いバカ兄貴!!!!こっちだって好きで素直になれないわけじゃないのよ!!」
「なるほど、自分の性格を変えるつもりはないと。愛想尽かされる前提で好きな異性と接するなんて度胸あるなぁ」
「さっさと学校行けこのバカ兄貴ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
今日も『いつも通り』賑やかな朝だ。
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