萌える仕草は美形にしか許されない特権

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「当時君は僕と仲良くなろうと近付いて来たよね……そしてそれを突っぱね続けた……角筈乃々が君のことを好きだと雰囲気ですぐわかったからね……君が憎くて仕方がなかった……」   「…………」   「でもいつまでも反発することに疲れたからね……角筈乃々にさっさと告白してフラれてわだかまりを消そうと思ったんだ。そして最終的に君と友達になろうと思った……」   「…………」   「そして事件当日……授業が終わった後君と一緒に帰ってる角筈乃々が1人になるまでずっと後を着けたんだ……」   駆は完全に聞きの体制に入ってるらしく、先程から横槍を入れることなく黙って耳を傾けている。   つまりは『感情移入』状態。   泣く映画などを拝見した後に涙を流すように。   こんな状態になると、簡単に心は動かされ情報によってはすぐにでも気持ちは裏返る。   「そしてアパートに着いて君と別れた時を見計らって僕は角筈乃々に話し掛けたよ……そしたら何て言われたと思う?」   「…………」   「『気やすく話し掛けないでよ。気持ち悪いストーカーのくせに』だってさ。僕が後を着けてたことに気付いてたみたいだよ」   果たして詩音の話は真実か虚実か。   確かめる方法はないが、間違いなく駆は『真実』と受け取りつつショックを受けていた。   初恋の人がそんな汚い言葉を吐くなんて思いも付かないから。   「まぁ予想してたからたいしたショックも受けずにささっと告白したよ。あ、ちなみに階段の一番下でね?フラれることが分かってたからあまり緊張もなかったなぁ」   「…………」   「そしたら気持ち悪がって階段を上がり出したもんだから慌てて彼女の手を引いたよ。そしたらバランスを崩してそのまま僕の脇をすり抜けて……っていう感じ。今まで黙っててごめん」
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