萌える仕草は美形にしか許されない特権

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――   「っていう感じに仲直りしたよ」   「本当王道主人公って甘ちゃんね」   放課後の帰り道。   「せっかく友達になったんだし一緒に帰ろ?」と話し掛けて来た駆に「虹と2人きりで帰りたい」とわざと含みを持たせる言い方をして、現在虹と肩を並べながら歩いていた。   クラスメートは突然仲良くなった2人に驚き、「止めた方がいい」と皆駆に詰め寄っていたが相手にされなかったようだ。   皆の不安そうな表情といったらもう……笑いが浮かんで来そうだ。   「それにしてもさっきの話本当?」   「ホントホント、あんなに簡単に行くとちょっと拍子抜けだけどさ」   「そっちじゃなくて初恋がどうのって話」   「あぁそれ?」   駆にした話を虹にもしたが、どうやら疑問が浮かんだらしく再度尋ねて来た。   詩音にそんな甘酸っぱい過去があるとはどうしても思えないらしい。   「大概本当さ」   「ふーん……『大概』ね……」   「そ。違う部分は『初恋』と『うっかり手を引いた』部分だよ」   「なるほどね。わかったわ」   「へぇ?」   虹が自慢気に横髪を掻き上げる姿は、駆とは違う意味で普段無頓着な詩音にも分かるほど美しい。   そして何よりも自分を何よりも理解してる唯一の相棒。   神様なんて信じてはいないが、彼女を女神の使いに勘違いしてしまいそうだ。   「『初恋』の相手はその角筈って子じゃないわね?東雲駆と別れた彼女に見つかるような曖昧な尾行と上辺だけの告白で相手を動揺させ、『不意に』と見せ掛けて彼女を階段から転がり落とす。これなら例え東雲駆が彼女に電話で確認しても『一応』話に食い違いは存在しないわ。角筈乃々が『詩音は本当に自分を殺そうとした』なんて言っても今東雲駆は『間違えて階段から落とした』と勘違いしてるから」
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