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無理もなかった。
事情により、学園を休まざるを得ない日々が続くセルにとって、<一般>の友人など皆無に等しい。
そんな中、共に学園生活を送る人物といえば…
「セル、おはよう。どうして俺をおいていった?」
皆より少し遅れて登校したこの男、[天風快斗(アマカゼカイト)]。
耳と首の後ろが隠れる程のやや長めで朱色の髪をしている。
何時も冷静さを欠かさない快斗は、セルの隣に腰を降ろした。
「お前をおいてったのに理由はねぇよ。ただ、今日は一人でいたかったんだ…。」
セルは膝に肘をつき頭を支え、冷めた口調で言った。
「………ふーん。」
またそれに、興味なさげに答える快斗。
ふと昇降口に目をやると、さっきまでの人だかりはなくなっていた。
あ、空いたよ。
快斗がそう言うと二人は立ち上がり、ゆっくりとクラス振り分け表へと近づいていくのだった。
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