わたし

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わたしは、少し前まで自分以外の人間を、カボチャとナスに分類していた。 そして、いつか自分こそがその頂点に立つ、真っ赤なトマトに成れると信じていた。 食卓を彩るヒロインの様な。 実際はトマトどころか、カボチャにすらなれていないのに。まだカボチャの花さえ咲いていないのに。 実際わたしは、トマトになる努力もせずに、また、カボチャでいることを維持することすら面倒で、最早、野菜でいることを辞めたい衝動にかられていた。 つまり、わたしは極度の面倒くさがり。 夢はあるけれど、描くだけ。 憧れだけは果てしないのに。 行動出来ない。あまり、何も、したくない。 嫌いな言葉は継続と、根気と、努力。 特に努力。 怖くて、恐れ多くて、口に出せない。 口にした途端、頭の中に出処不明のプレッシャーが溢れて、心が潰されそうになる。 弱い、弱すぎる。 立派な駄目人間。 廃人の鏡。 どうぞ、そう呼んで下さい。
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