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当時9歳の俺達には家を出て暮らしていく事の過酷さを知る由もない。もちろんお金もないし、行く宛てもない!
ただ俺らには失敗が許されるにはまだ十分過ぎる時間と未知の世界へ飛び出す事にを躊躇わない無謀さはあった。
街路樹が赤く染まり始めた季節
いつもの剣道へ行く途中にある墓場の焼却炉付近に腰を降ろし作戦会議をした。
「村山、食べ物持ってきたか?」
「うん!みかん2つとどんぐり飴持ってきたで!」
「よし!それを分けあえば一日は持つなー!とりあえずできるだけ遠くへ行こう。田舎の方行ったら畑をかあるから、当分は勝手に野菜とかパクって川で魚とったら食べるのは困らへんで!」
「そうやなー!でも、家とか服とかどうすんの?」
「アホか!原始人なんて家
も服もないねん!家なんて穴掘るか、木で作ったらええねん!」
はっきりとは覚えていないが、こんな感じのアホなやり取りがあったのち、俺らは大和川に沿って歩き出した。
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