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「次があったらどうすんだよ!」
「ねぇねぇ。それの心配はいらねぇ。」
しかし
一転トシは勝ち誇ったようににやりと笑った。
背中を嫌な汗が流れる。
「皆お前が女だって知ってる。」
「は?」
「慶喜様も容保様も隊士達も皆知ってる。」
「はぁああっっ?!」
私は思わず腰を上げてしまった。
トシは嬉しそうに折っている膝で頬杖をつく。
「咎はっ!?」
「なし。」
「判断材料はっ?!」
「昔のお前の功績。」
「その程度でどうやったら許可が下りるんだ!!有り得ないだろ!!!」
「まぁ。幕府も人材不足だからなぁ…。戸川様が気に入ってくださってたのは効いたな。」
うんうんと遠い目をしながらそんなことを言い出す。
「それに忍びに女がいるんだぜ?別にいいじゃねぇか侍に女がいたってよ。」
「おい…お前…お前それ二の句を継げなくしただけじゃねぇか!!」
「結果は結果だ。諦めろ。」
唖然としてトシを見ると横の総司たちは口元を押さえ笑っている。
「ふざけんな!!馬鹿じゃないのかお前っっ!!」
ドンッ
そう叫んだ瞬間誰かに横から押された。
私に縄をかけた餓鬼が組み敷かんとする様子が時を止めるかのようにゆっくりとした動作で見える。
それが…
伊東と重なった。
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