見当違い

5/35
前へ
/1388ページ
次へ
「具合は?」 「今日は調子がいいですー。さっき紀州藩から香典と一緒に蜜柑が届いてましたよ。食べましたか?」 「いやー。覚えが悪いのがいてここから動いていない。」 「あはは。なんでできないんでしょうね?もっとこう…ぐっとやったときに注「せんでいい。」……はい。」 座りながらも実演してくれようとするので止める。 総司の教えは判りにくいらしい。私からすればそうでもないが…。 見て取るには綺麗な型をしているんだが…それが伝わらんとは勿体ないことだ。 紀州からの香典というのは,先の七日に,一を御陵衛士から匿ってくれていた三浦休太郎さんが坂本たちの暗殺に対する報復に狙われその警護の際に討死した宮川信吉の分だ。 しかし…旬とはいえなぜ蜜柑なんだ。紀州って言ったら梅だろ。はちみつ漬けの梅を送ってこい。 ───…総司が喜ぶのになぁ。 「瀬那さんの分持ってきましょうか?すっごく甘くて美味しかったですよ!」 否…喜んでるみたいだからいいか。 「持っておいで。」 「ちょっと待っててくださいねー!!」 二条城警護に際し,一と私も含めた編成が組み直された。 伊東の分離のおかげで大分増減が激しかったらしく組頭の形を取るのはやめたらしい。 私は副長付に,一は助勤に復職。 山崎君や島田さん達に相変わらず裏取りなどをさせているため監察がある物と思っていたら……… いつの間にかなかった。
/1388ページ

最初のコメントを投稿しよう!

771人が本棚に入れています
本棚に追加