見当違い

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―――――― 「ひーじかーたさんっ♪」 煙管を吹かしながら庭を眺めていると総司がやってきた。やはりうちとは比べものにならないほど立派な庭だ。 ―――余裕があれば一句歌うんだがな…。 総司は足取り軽くこちらにやってくる。 「瑞人さんに渡せたんですね!扇子!」 「ゴホっ!!ゴホッケホッケホッ!!」 「あはは!動揺しすぎでしょう。」 背を撫ぜて… は来ずにバシバシと叩いて来る。 「っ…コホッ…いてぇよ。」 「え?もっと??」 「言ってねぇだろんなこと!」 総司はにやにやしながらこちらを伺ってくる。 「よかったですねー!渡せて。」 「…うるせぇ。」 「扇子一本に悩む土方歳三も面白かったんですけどねぇ!」 自然と顔が歪むが,どうしようもねぇ。 「…総司。」
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