見当違い

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「ふふっ。なんです?瑞人さんとぉーっても嬉しそうでしたよ?」 「っ…そうかよ。」 反撃してやろうかと思ったところに追い打ちをかけられ,思わず頬が緩む。 「一日中眺めてましたからねぇ。皆に知られちゃったんじゃないですか―?」 「結構な事じゃねぇか。」 まぁ名も入ってるしな。わかる奴にはわかるってもんだ。 皆が色々と知っているせいか,瀬那は前ほど隠そうとはしなくなった。 まぁ鉄扇は…一応隠し武器みてぇなもんなんだが…気に入っているようだから別にいいか。 「うわっ嫌な人っ!そんなに昨日好いことがあったんですか?」 「あ"?」 ―――好いこと? 声を上げる総司を改めてきちんと見るとトントンと自分のうなじを叩いた。 「一日中ずっと扇子を見下ろしてましたからねぇ。見えますよね。まぁ。お華が咲いてるの。」 「あぁ。」 そんなことか。 「大したことじゃねぇだろ。」 最後までしたわけじゃねぇし。 屯所だと嫌がるからな。流石に俺もそれがいいとは思っちゃいねぇが…。 揃って出ることがねぇから溜まるよな。
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