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「香炉もあったから香炉かもしれんが…。どちらがどうとは流石に判らんな。どうもそうした方がいい気がしたことだけ覚えてるんだが、その間の記憶があまりない。
気がついたら7~8割ほど終わってたんだ。どうしようもないよな。」
あははっと事も無げに笑い飛ばす。
自分で聞いておきながらその様子を思い浮かべたのか総司の表情が苦々しいものになった。
「すみません…。」
「別に?構わないよ。今の私には誤魔化しも嘘も何一つないからな。何でも聞いてくれ。」
ポンポンと撫ぜられると総司も険しくなった表情を伸ばす。
「…総司そろそろ戻れ。また体調崩すぞ。」
「はぁーい。」
そう言ってやると二つ返事で戻っていく。
瀬那自身の判断だ。俺がどうこういう話じゃないのかもしれねぇが、やっぱりあの頃の話はさせたくねぇ。
…俺のために、否、俺のせいで味わわなくていい苦痛を味わったんだ。
「で?何したの?土方さん?」
ぉっと…
流石総隊長…
きっちり覚えてやがる。
「はぁ…。ほどほどにしとけよ。」
俺を通過しながら軽く紡ぐ。
───だからそこは容認すんじゃねぇよ。
「あ。どうせなら皆も連れて行ってくれ。」
「ちげぇって。お前ぇの話。」
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