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「すまないが…一回屯所戻ろうと思う。」
伏見行き決定を瀬那に教えてやると
顎に手を添えたままそう放つ。
「あ゛?なんでだよ。」
「ここに来る前から干してた干し肉がそろそろ好い頃合いだと思うんだ。暫くここにいるつもりだったからそのまま。それに今後を考えて次も用意しておくべきだと思う。」
―――確かに食糧確保は大事なことだが…。
「下坂したら次戻るのは何時かわからんからな。出来れば源さんを借りたい。」
源さんもか…。ならまだ問題ねぇ。
近くまで敵が押し寄せてきてるんだ。京の中とはいえ一人歩きはさせられねぇ。
「ってことは南部さんを呼ぶってことだよな。」
「あぁ。あいつらは松本先生からの贈り物だからな。使える時に使わなくては意味がない。」
───…………。
「総司も連れて行け。」
「総司?」
「あぁ。南部さんに診せてくれ。俺達の前じゃ気丈に振る舞っちゃいるが…最近喀血が当たり前になってやがる。」
「ホントに?!」
「あぁ。今回までは組み込めるかもしれねぇが次は分からねぇ。」
瀬那の表情はみるみる険しくなる。
俺の鏡のように…。
「薬もそろそろ切れる頃合いか…。」
一つ頷くと瀬那は額を押さえた。
こいつが長州…否平戸まで出向いて調達してきた薬だ。ここいらの薬屋でおいそれと手に入る代物じゃねぇ。
それも…
本当に効いてるのかすら証明するすべはねぇ。
総司の……
感覚一つだ。
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