見上げた背中

見当違い

――――――

「ピギャアァアアアアアアァアァァァアァアッッッ！！！」

「…うるさいってば。」

豚を打ちながらついつい口をついて出てしまう。

厚い脂肪のおかげで，男手でも一撃で倒すことが出来ない。

とりあえず脳天に一つ入れた後に首を折るが…なかなかこの作業を効率よく行えた試しがない。

しかも始めの一頭の叫び声に他の豚が暴れだすのでちょっとどころじゃなく面倒だ。

トシに許可を得た後すぐさま三人で屯所に帰ってきた。

勿論途中で南部さんたちにも声を掛け弟子一同と来てもらうように手配してある。

干し肉を持つ用意を済ませた後は豚の準備だ。

南部さんには私達が倒すのを待つ間に総司を診てもらっている。

「しょうがないよ。豚だって生きるのに必死なんだから。」

源さんが苦笑して私を見るが…。

こいつらがさっさと逝ってくれないと作業が進まん。

南部さんたちに解体してもらった後は片っ端から食べやすい大きさに捌いて保存用に手を入れなければならないのだ。

本当なら一や他手先の器用な隊士を数名引っ張ってきたかったがあちらが手薄になるようなことが起こってはならない。

それ故にこちらが当然人手不足だ。