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「総司どうですか…?」
南部さんの弟子が豚と格闘している間に総司の容態を確かめる。
「医者としては…。」
南部さんは鋭い眼差しで私を見据える。
「今この瞬間から養生に切り替えて欲しいと思っています。」
「……。」
「彼がとても大切な職に就いているのは分かっているつもりですが,少しでも生かしたいのであれば…。」
「日当たりがよく空気のきれいな場所で安静に…ですか?」
「はい。」
私は堪らず視線を逸らした。
刻一刻と高杉に見たあれが…総司に迫ってきている。
本当なら今ここで南部さんに預けるなり,延命のための判断を下すべきだろう。
そんなことは分かっている。
わかっているのだが…。
「…今まで以上にできることは何かありますか?」
そう問うと南部さんは眉間に皺を入れ首を振った。
「あればとうにお教えしていますよ。…貴方も医術に触れている人間のはずですが…まだ彼を戦場へ連れ出すおつもりですか?」
「……。」
「真に彼を思うのなら,たとえ彼の願いと言えど止めるべきではありませんか?」
―――ふふっ…。
思わず内心で笑ってしまう。
高杉の時は飯屋に行くかどうかだったな…。
総司は戦か。
ふふっ。物騒な事だ。
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