見当違い

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「…やっと向かえますね。」 総司を送り届けた二日後。 ようやっと豚の処理を終えた。 雨に打たれないようにだけ整え源さんと共に伏見に向かう。 その間,私が行き来しているのを見掛けたのだとおまささんが訪ねてきた。佐之さん宛の文を預かったのだが,その様子がとても幸せそうで文は吉報だと踏んでいる。 向かう途中藩邸に顔を出すと新撰組は伏見奉行所に布陣しているとのことだった。 総司の方へも報せに走ってくれているらしい。 「瑞人は…怖くないのかい?」 もう隠す必要もなくなった。 男として弱みを見せないというようなことも…しなくてよくなったともいえる。 怖いと嘆いても…きっと「女だから」と同情を買えるのかもしれない。 「もう慣れましたよ。剣で生きていくようになったのももう四年…否もうすぐ五年です。」 伏見までの道中,不意の問いかけににこりと微笑むと源さんは眉を下げた。 「…なぁ瀬那。今ここから別の道を歩んだって構わないんだよ。」 「………。」 「私から土方さんたちには上手く伝えておくから。瀬那は女子として必用な素養は全て持ってる。今回の戦は政権を掛けた大戦だ。生きて帰れるかどうか…わからないんだよ。」 「………。」
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