見当違い

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「瀬那は私よりも上役だから,当然慶喜様たちの状況も私より知っているだろう?薩長には勿論,私達にだって正義の御旗がない。」 「…源さん。」 「何だい?」 真っ直ぐに視線を合わせると先に察したかのように源さんは苦笑した。 「次そのような事を言ったら罰しますよ。」 「…すまないね。」 「あと,瑞人です。外では…気を付けてください。」 「あぁ。わかってるよ。」 何故か皆…“瀬那”という名の方を私の本名のように扱う。 それまで瀬那で生きていたのだから,その方がしっくりくるし私自身としては問題は無い。 今もきっと源さんは女としての私に進言したのだ。 「源さん。私とトシの出会いを聞いたことがありますか?」 そう問うと源さんは優しげな表情で首を振った。
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