見当違い

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「やっと会えたんだなぁ。」 「はい?」 随分前に初対面は済ませましたが??? 「その話ね。その日の晩に聞かされたよ。」 「あははっ。そうですか。」 「あぁ。珍しく酒を買って帰ってきてね。苦しい局面で笑っていられる妙な女に会ったと…その日はその話で持ちきりだったんだよ。」 「へぇ。」 あの駄賃は酒に消えたか。あのあと…あぁ辛い日々だったなぁ。あれ全財産だったんだけど。 「そうか…あれは瑞人の事だったんだね。その後も何度か会ったような話は聞いてたんだが,なかなか連れてきてくれなくてね。 浪士組の準備も入ったりして女子探しなどと言っていられなくなったんだが…。ここにいたのか。」 「ふふっ。はじめまして。」 「こちらこそ。土方さんの話も大袈裟じゃなかったんだなぁ。」 源さんと顔を見合わせ含みあう。 ───どんなネタにされていたのやら…。 「絵師になって暫くしたら,予定の金子が溜まりましたのでいる町を変えたんですよ。追手から逃れる必要もなくなりましたから堂々と置屋の前も通れましたしね。」 「なるほど。」 うんうんと頷く源さんを見ながら,あの頃のことを思い出す。
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