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「昔も今もあいつはしつこい男です。近藤さんの為に躍起になっている。
もしもあいつの足元を崩すとしたら,他人の弱い感情だ。本人もわかっているからこそ新撰組には法度が存在する。」
源さんも真面目な顔に戻り耳を傾けている。
「私はこの戦、勝てると信じてますから。」
「そうだね。」
「それに…」
「ん?」
「数多の人間を手にかけ、肩と腹に刀傷を負い、更には柔らかさのない私など誰が貰ってくれるって言うんですか。」
あぁ…。
トシが私をいいと思う点がさっぱりわからない。
「そんなこと気にすることないよ。」
「ふふっ。私は私より弱い男など立てられませんよ。当てでもあるんですか?」
チラリと見やると明後日の方向を見ながら頬を掻いている。
「それはまた、難題だね…。」
「それに、私の命はもう預けてあります。コレを譲ることは出来ません。」
真っ直ぐ覚悟のほどを伝えると、源さんは力強く頷いてくれた。
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