見当違い

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「(で?相手はどんな女子だったわけですか?)」 「(それがまたえらく美人でよぉ。静かで淑やかな感じでなぁ…。)」 佐之さんの話しを聞きながら頭の中で想像絵図を起こす。 ―――ふむ。私と正反対のいい女ではないか。 あの餓鬼の騒ぎっぷりが目に浮かぶ。 ポンッ 「おい。」 「っうわぁあ!!」 気づいてなかったらしい佐之さんは肩をビクつかせ大げさに驚いた。 振り返るとトシは顔を歪めながら佐之さんの肩に手を置いている。 「何やってんだお前ぇらは。」 「いやっ別に!あの!ほらっ!」 あぁ…ここにも間者になれない人間が…。 「ただ今戻りました。」 「…………おう。」 佐之さんから解放されたため,きちんと向き直り頭を下げる。トシは腕を組みながらそっぽを向いた。 ───ほう?数日ぶりだというのに顔を背けるか。 「…よかったの?断って。」 言った瞬間目を見開いた。 すぐさま佐之さんを連れ私から離れる。 「(おい佐之助!!お前何言ってんだよ!!)」 「(き…近況報告だ…ろ?)」 「(馬鹿野郎!!こいつ一回根に持つと長ぇんだぞ!)」 「(…瀬那の説教の方が土方さんより短いけど…。)」 「(どういう比較だ!それとはまた別もんなんだよ!!)」 小声になっていない言い合いに呆れる。 第一この程度の事…。 別に?根に持ったりなんか?しない。全然。 縁談持ってきたのトシじゃないし,好いご縁なら結んでしまえばいいんじゃないかな。 慌てるほどお気に召したのなら尚更ね。
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