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「…乗せられたかな。」
「だろうな。」
坂本が死んだとはいえ海援隊は未だ健在。薩長の物資を西洋の最新式にどんどん入れ替えて行っている。
使い手が未熟な事はどちらも同じこと。性能の差は否定できない。
だが結局どんな素晴らしい駒が揃っていようと,使う頭がなければ意味がない。その点においてには自信があった。
「西郷には負けねぇ。」
薩摩の西郷隆盛は薩長同盟を結んだ男。一本筋の通った薩摩隼人で武人として切れ者であると,薩摩と言えば名が上がるほどの有名人だ。
この武力抗争への持ち込み方もおそらく西郷の差し金と睨んでいた。ここで全てに終止符を打ちわが手に勝利と官軍の御旗を収める心積もりだろう。
だが東軍とて戦の準備を怠って来たわけではない。
トシのその眼差しには勝利の想像図がしっかりと見えていることだろう。
例えどのような結果になるにせよ…。
───私は私ができることをするだけだ。
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