鳥羽・伏見の戦い

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年が明けた慶応四年睦月三日 またも西軍より伏見退陣勧告があった。が、間者として送り込んでいた小幡三郎より薩摩が桃山に兵を構えると報せが入った。 「まずいことになっちまった…。」 桃山は伏見奉行所東に位置する高台。その頂からはちょうど奉行所を見下ろす形になる。 新撰組は奉行所東にその所を許されており、ここには…門がない。 「瑞人、足場を作れるか。今すぐにだ。」 一つ頷くと表に走る。すぐに叺(かます・袋状のムシロ)を集めそこらじゅうの砂利や土を詰めさせる。 「おい!こんなのなんの役に立つんだよ!折角皆で「黙って進めろ。」…チッ。」 餓鬼は文句だらだら、他の皆も突然のその命に首をかしげている。 「あらかた終わったら帯をしめなおせ。来るぞ…。」 桃山をにらみ放ったその一言に一瞬で空気が変わった。交互に自身の甲冑を確認し、できた順に塀の前へと叺を並べる。 ドタドタドタドタドタッッッ!!! 「鳥羽、小枝橋方向より砲煙!!!西軍からのこうげ ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ―――――――ドガァァァァァァン!!! バキッバリバリバリバリバリッッッ 「「「「「ぅぉぉおぉぉぉぉぉぉぉおぉぉぉっっっっ!!!!」」」」」 その報告と同時に奉行所の屋根が吹っ飛んだ。そして桃山、だけではなく奉行所北御香宮神社からも声が上がった。
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