第11章 彼の想定外

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*** 「どうした、花?最近元気がないな」 夕食後、斜向かいに座った父がワイングラスに口をつけながら心配そうに私を見た。 そう言われるのも無理はない。 いつもなら。 修ちゃんのすごい仕事っぷりとか優しいところとか、父を説得する材料をそろえて話しをしている時間帯。 なのに最近の私は、その気力もなくソファにだらりと横になってばかり。 「とうとう修とケンカでもしたか?」 なぜかちょっと嬉しそうな顔。 ……ムカつく。 「そ、そんなんじゃない。私たちは大丈夫だもん……」 「花だけがそう思ってるんじゃないのか?」 からかうように私に放たれた言葉。 「ち、違うもん!」 すぐに否定したけれど。 でも、ほんとはどうなんだろうか?
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