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給湯室にはインスタントコーヒーもあるけど、やっぱり朝は豆に限る。
でも、さすがにミルはないので、棚に並んだいくつかのコーヒーの粉が入った缶を眺めて。
「今日は…、これにしよっ」
『ブルーマウンテン』と書かれた缶の蓋を開けると、コーヒーの香りが一瞬にして私の鼻に届く。
「いい匂い……」
深く深呼吸をしてひと時酔いしれてから、コーヒーメーカーへとセットする。
準備万端スイッチを入れようとした時。
「俺にも」
背後から聞き覚えのある声がして、私の心臓は飛び跳ねた。
恐る恐る振り返ると、後ろには壁に寄りかかり腕を組む加賀谷主任が。
いつから?
いや、いつの間に?
「コ、コーヒーですか?」
どもってしまうのはしょうがない。不意打ちだもん。
「何の豆?」
「ブルーマウンテンです…」
「じゃ、それで」
私は返事はせずにこくんと頷いてから、コーヒーメーカーにもう一杯粉を足し、ようやくスイッチを入れた。
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