4401人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「ただいま」
ホロ酔い気分で自宅の玄関を開けると、どこかで見た革靴があった。
私は自分のパンプスを脱ぐのも躊躇して、その革靴に見入ってしまう。
せっかく打ち上げで褒めてもらって、いい気分で忘れてたのに。
奥のリビングからは、母が1オクターブ高い声で笑っているのが聞こえる。
かなり機嫌がいい証拠だ。
私は時間をかけてパンプスを脱いで。
リビング前の扉で一呼吸。
そして、夜も深まってきているのに、なぜか賑やかな我が家のリビングへ突入する。
一番に目に入ったのは、ソファに座った私のお気に入りのストライプのシャツを着た人。
「お帰り、花」
朝とは打って変わって笑顔を見せる加賀谷修がそこにいた。
.
最初のコメントを投稿しよう!