第1章 彼の背中

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*** 「ただいま」 ホロ酔い気分で自宅の玄関を開けると、どこかで見た革靴があった。 私は自分のパンプスを脱ぐのも躊躇して、その革靴に見入ってしまう。 せっかく打ち上げで褒めてもらって、いい気分で忘れてたのに。 奥のリビングからは、母が1オクターブ高い声で笑っているのが聞こえる。 かなり機嫌がいい証拠だ。 私は時間をかけてパンプスを脱いで。 リビング前の扉で一呼吸。 そして、夜も深まってきているのに、なぜか賑やかな我が家のリビングへ突入する。 一番に目に入ったのは、ソファに座った私のお気に入りのストライプのシャツを着た人。 「お帰り、花」 朝とは打って変わって笑顔を見せる加賀谷修がそこにいた。 .
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