第1章 彼の背中

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「…ただいま。来てたの?」 私は流し目を送りながら、冷水を飲むためにキッチンへと向かった。 「花も打ち上げなんかなかったらよかったのにねぇ。そしたら修ちゃんと一緒にご飯食べれたのに」 母は残念がってそう話す。 「いいよ、別に」 私は相変わらずのぶっきら棒で答える。 「どうだったの?笛吹と二人きりの打ち上げは」 「なっ…」 面白半分で聞いてくる顔は昔とちっとも変わらない。 やっぱり…、聞こえてたんだ。 こんなときに言うなんて、意地悪…。 私が膨れっ面をして横目で睨んでも、彼はまったく気にも留めていない様子。 「えっ?花が行った打ち上げって二人だけだったの? やだ、お母さん知らなかったわ」 「だって言ってないもん」 私は少々ふてくされ気味。
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