第1章 彼の背中

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チラッと父を見ると、娘のそんな話は聞きたくないのか、つまみをパクついている。 「修ちゃんは行かなかったの?」 「俺は係が違いますから」 「そう。でも今度は一緒に行って様子みてほしいわ」 「お母さんっ」 さすがに聞いていられなくて、母をたしなめるが彼女もまったく動じない。 そして、もう別の話題を持ちかける。 「しかし、姉さんが義兄さんの海外赴任について行くなんてねぇ。 昔は飛行機も怖いって言ってたのに。 修ちゃん、いつでも叔母さんとこにご飯食べにきていいんだからね」 「そうだぞ。うちは花しかいないから晩酌の相手がいなくて寂しかったんだ。気にしないでちょくちょく来るといい」 父もお酒が入っているせいか、機嫌がよくて楽しそう。 とにかく両親は昔から母の姉夫婦の子「修」が大好きなのだ。
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