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振り返ると修ちゃんが思いのほか近寄ってきていて。
背の高い彼の頭と同じ目線で立ち止まる。
ウェーブのかかった柔らかそうな髪に手が届きそう…。
あぁ、ほんとにそのシャツ似合ってる。
緩めたネクタイが妙に色っぽく見えるのは、私が酔ってるせいなのかな。
「なんですか?主任」
「なんだよ、それ」
くすりと笑う彼が見れず、私は彼のシャツに集中して返事をした。
だって瞳をみたら、酔ってる私は余計なことを言ってしまいそうだから。
「笛吹に何かされなかったか?」
顔を近づけてリビングの母に聞こえないように話す仕草が、私の心臓を高鳴らせる。
ずるいよ、そんなセリフ言うなんて。
修ちゃんの首元から見える鎖骨がきれいで、目眩がする。
「花、聞いてんのか?」
「…聞いてる。けど、何かあったらこんな時間に帰ってない」
「ま、そうだな」
そう言って安心した顔を見せながら、私の頭をぐりぐり撫でた。
それ、やっちゃ駄目…。
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