第1章 彼の背中

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振り返ると修ちゃんが思いのほか近寄ってきていて。 背の高い彼の頭と同じ目線で立ち止まる。 ウェーブのかかった柔らかそうな髪に手が届きそう…。 あぁ、ほんとにそのシャツ似合ってる。 緩めたネクタイが妙に色っぽく見えるのは、私が酔ってるせいなのかな。 「なんですか?主任」 「なんだよ、それ」 くすりと笑う彼が見れず、私は彼のシャツに集中して返事をした。 だって瞳をみたら、酔ってる私は余計なことを言ってしまいそうだから。 「笛吹に何かされなかったか?」 顔を近づけてリビングの母に聞こえないように話す仕草が、私の心臓を高鳴らせる。 ずるいよ、そんなセリフ言うなんて。 修ちゃんの首元から見える鎖骨がきれいで、目眩がする。 「花、聞いてんのか?」 「…聞いてる。けど、何かあったらこんな時間に帰ってない」 「ま、そうだな」 そう言って安心した顔を見せながら、私の頭をぐりぐり撫でた。 それ、やっちゃ駄目…。
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