第1章 彼の背中

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撫でられると… その大きな手のひらを自分のモノにしたくなる。 声に出してはいけない言葉が喉元に引っかかって苦しい。 彼の手を払って「おやすみ」と言い残し、階段を上がって自分の部屋へと逃げ込んだ。 手にしたバッグを床に放り投げ、ベッドに突っ伏す。 いつから…。 いつからこんなに苦しくなったのだろう。 従兄なのに、こんな感情はおかしい。 そんなことは自分が一番わかってる。 何度もこの感情は別のモノだと否定したけど……。 そうじゃないことも、自分自身が一番わかっていて。 この感情の持って行き場がなくてイライラするから、彼に当たってしまう。
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