第1章 彼の背中

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ブラウスを羽織ったところで「おはよう」と声をかけられた。 驚いて振り向くと倉沢かおるさんだった。 「お、おはようございます」 「何急いでたの~?声かけたのにさ」 私の隣のロッカーを開けたかと思うと、シャツを脱ぎ捨てキスマークの付いた胸元を堂々と晒した。 さっきのはかおるさんだったのか…。 彼女は私より二つ先輩で同じ経理課1係。とても面倒見がいい。 「何でもないです。かおるさんこそ今日は早いですね」 「うん…。今日は相手の家から真っ直ぐきたから。眠い…」 やっぱり、そういうわけか。 まだ半分寝ているような顔で、着替えをしている。 私はこの人の飄々としたところが好きだ。 いつもビクビクしている私とは正反対で憧れる。
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