第1章 彼の背中

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給湯室ではかおるさんが今飲むコーヒーを選んでて。 「かおるさん!」 「なぁに?そんなに慌てて。花ちゃんは可愛いなぁ」 面と向かって見つめられると、言葉が引っ込んでしまう。 「もしかして、加賀谷主任になんか言われてんの?」 面白半分で聞いてくるその顔は、昨日の修ちゃんにそっくり。 もう…。みんな意地悪だなぁ。 「い、言われてませんよ。何でもないって言おうと思ったんです…」 「ふ~ん」 納得してないよね、やっぱり。 「加賀谷ってさ。結構モテるわりに女作んないんだよね。 だからそろそろかなぁって思ってさ」 そう言いながら、コーヒーの粉が入った缶を棚から出して。 私はコーヒーカップを棚から出す。 「じゃあ、あいつ男が好きなのかな?」 思いもよらない台詞が飛び出し思わず吹いた。 「ま、まさか加賀谷主任に限って…」 「もしかして、俺の悪口?」 .
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