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聞こえてきたのは、入り口に寄りかかって腕組みしている本人の声で。
「やぁだぁ、主任たら盗み聞き?ってか、その袋何?」
まったく動じないかおるさんは、手にしている袋を摘みあげた。
「あー、コーヒー豆。いつも入れてもらってるからお礼にと思って」
「へぇ、珍しい…。
あっ、これマンデリンじゃないですかぁ!
あたし、これにする!これ飲む!」
「倉沢…」
呆れた顔の修ちゃんは苦笑い。
私に視線を移して「俺にも入れて」と呟くと自分の席に戻っていった。
「あたし、これ好きなんだよねぇ。花ちゃんもこれでいい?」
「はい」
鼻歌まじりで機嫌よくコーヒーメーカーに粉をたっぷり入れてる。
私はそんなかおるさんに顔が綻ぶ。
なのに…。
「さっき」
「はい?」
「さっき、エレベーターで見ちゃった。ただならぬ雰囲気醸し出してたね」
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