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「ブルーマウンテンね。僕も好きだな」
納得したのか頷きながらカップに口をつけている。
ふと見ると、デスクの上に≪回覧≫が。
「これ…」
「あー、研修旅行だって。今年は営業部と一緒みたいだね」
この会社では、いくつかの部署とまとまって研修旅行が行われる。
それが今年は営業部とらしい。
「温泉かぁ…」
「行くでしょ?初めてだし楽しいよ、きっと」
笛吹主任は≪回覧≫を手にとって旅行のルートを確認して。
……温泉。
私のもっとも苦手としているモノ。
裸になって背中を晒さなきゃならないなんて、死ぬより嫌だ。
でも、修ちゃんと旅行。
家族がいないなんて初めてかも。
最近スーツ姿しか見てないし…。
いや、スーツもカッコいいんだけど、修ちゃんの私服……久しぶりに見たい。
「楽しそう…」
思わず声に出る。
「楽しいよ」
笛吹主任が私の独り言に返事をしたから我にかえった。
私は熱くなった自分の頬を隠すように両手で覆って。
最近見ることの少なくなった彼の私服を想像して、こっそり背中に目をやった──。
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