第11章 彼の想定外

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確かに修ちゃんの噂は存在した。 しかも広範囲に広まってて。 もともと偏屈で有名な山上社長。 その山上社長に気に入られて、営業に異動になったことはみんなの知るところで。 その後も、取引額がどんどん増えてかなりのお得意様になって。 一時は『社長に取り入ってる』なんて酷いこともささやかれたりしたみたいだけど。 同じ営業部の人がその仕事ぶりをみて前言撤回したって。 修ちゃんの働きが認められたって思って安心してたのに。 その娘さんとの結婚話。 得意先との縁談ともなれば、会社にとってはこれ以上ない朗報。 今になって、また山上社長に振り回されることになろうとは。 きっと。 そう簡単には断れない──。 そんな思いが私を不安にさせる。
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