第2章 彼のコーヒーミル

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いじけていると、隣で修ちゃんが、 「あのさ、一度家に寄っていい?スーツ脱ぎたい」 「家って、独身寮のこと?」 「そう」 会社から近い小さなマンションに横付けされた車は、静かにエンジンを切って。 「ここ、が独身寮…」 独身寮といってもマンションの空いている部屋を会社で借りてるだけだから、住人は会社の人間ばかりではないらしい。 「悪いけど花も来て」 「え、なんで…?」 「ここ男が多いから置いとけない」 「でも…」 戸惑う私を強引に下ろして、結局修ちゃんの部屋まで行くことに。 マンションの入り口を左に曲がると、2台のエレベーターがある。 そのひとつに二人で乗り込んだ。 修ちゃんのごつごつした指が6階を押す。 修ちゃんの部屋。 一人暮らしになってから訪ねるのは初めてだ。 緊張……。 .
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