第2章 彼のコーヒーミル

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目を丸くする私にコクンと頷いた修ちゃんは、自慢げな顔になって。 「これはね、コーヒーミル」 「コーヒーミル?これが?」 「そう」 木箱の後ろにはもうひとつツマミがあって、それをグルグル回すと豆が挽けるんだとか。 「やってみたい!」 はしゃぐ私に少々呆れ顔を見せて。 「…でも、今豆切らしてるし」 えー残念…って、ちょっと待って。 「…あっ!」 私はおもむろにバッグを探り、今朝笛吹主任にもらったブルマンの豆を取り出した。 「これ…」 私の手から袋を取り上げると、表に書かれた文字を見て。 「ブルマンじゃん。なんでこんなの持ち歩いてんの?」 「あ…うん、今日はたまたま…」 怪訝そうな顔をして、私を見下ろしてる。 やっぱり言わなきゃよかった、かな…。 「誰かにもらったの?」 さりげなく修ちゃんの視線を逸らした私に、問い詰めるように話かけてくる。
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